特集

インタビュー Vol.58
「昭和を彩る伝説のスターたちに捧ぐ」に向けて
対談:土居裕子 えまおゆう 杉田真理子 劉 玉瑛

●子供の時に聴いた歌。最近聴いている歌は?

えまお:四人兄妹の末っ子で、ステレオが1つしかないところで、兄やお姉さんたちが聴いていた曲が青春の曲みたいな感じでした。ガロの「学生街の喫茶店」とか荒井由実さんの「ルージュの伝言」とか高中正義さんの曲とか、ですね。年末の日本レコード大賞や紅白歌合戦とかを観てピンクレディー、キャンディーズの歌マネしたりしていたので、子供の頃の曲というと思い出しますね。最近はジャンルは問わずに聴いていますね。宝塚の時は、これがシャンソンだ、とか、これがタンゴだ、とかジャンルを言われて歌ったことがなく、退団してから、あの曲はシャンソンだったんだ、とか改めて知るということがあり、結果的にジャンルを問わず聴いている感じですね。歌謡曲は歌詞が良いと凄く入りこむし、若い友達もいるのでロックやヘビメタなども聴いたりするのですが、流れている曲を楽しむ、という感じですね。

土居:私も三人姉妹の末っ子だったので、やっぱり姉の影響って大きいですよね。でも一番最初に好きになったのは、天地真理さん!もう大好きで大好きで。南沙織さんも好きで、いつも歌っていて、あの頃、「明星」とか「平凡」とかあって、それに歌本が付録で入っていて、姉が買ってきたら、最初から最後まで全部歌うんです。もう、テレビの中の大スターという感じで好きでした。

えまお:それに付け加えていいですか?(笑)。私はすぐ上の姉が、たのきんトリオが大好きで、私もそれにつられて田原俊彦さんを大好きになり、田原俊彦さんのモノマネをずっとしていたという。新曲が出て歌番組に出られると、その日のうちに曲と振付を憶えて、翌日、学校で歌って踊ってモノマネを披露するというのが、中学高校時代の伝説みたいな話になっていまして(笑)。宝塚の受験で最後の面接で、トシちゃんのモノマネをして受かりました。先生方が、この勇気は凄いって。男性アイドルのモノマネばかりやっていましたね。VHS、βなど、自宅でテレビ番組を録画できるようになった時代だったので、録画して繰り返し観ていました。

土居:私は山口百恵さんと同じ年なので、花の中三トリオと同じ世代なんです。最近は、舞台でラップをやることになったのでそういうのも聴いています(笑)。普段はインストゥルメンタルとかが多いです。ジェイク・シマブクロさんとか、癒し系ですかね。杉田さんは?

杉田:うちは小さな建設会社をやっていて、事務所の下に名曲喫茶というのもやっていたのですよ。母がアルバイトしていて幼稚園が終わるとそこに行っていたりしてたの。そこで流行っていたのは、ジリオラ・チンクエッティ。ジャズ、シャンソン、カンツォーネとかLPをかけて、コーヒーを飲むという店だったので。あそこがクラシックの名曲喫茶だったら私はクラシックをやっていたかもしれない。歌の高さやメロディが子供の時に頭に入っているから今に活かされているので凄く感謝している。うちに帰ったら天地真理ちゃんのモノマネはしていましたよ(笑)。最近はお店を始めたから、ここ(お店)で、セリーヌ・ディオンなどのDVDやブルーレイをかけて聴いていますね。例えばビリー・ジョエルコンサートの映像を観るのと音だけを聴いているのとでは印象が全く違うので、新たな発見があったりしますね。ポール・マッカートニーやトニー・ベネットが出てきたりして。ネットで無作為に買っては観て楽しんでいます。ここでは、前田憲男先生やジャズの方々もライヴをやって下さいますので、普段からいろいろな音楽に触れる機会が多いですね。

土居:その前田憲男先生が今回の「昭和を彩る伝説のスターたちに捧ぐ」にゲスト出演していただくわけですよね。凄く楽しみ。大巨匠ですもの。それにしても、真理子さんは子供のころから音楽をやる、というレールが敷かれていたようなものですね。そして、玉瑛ちゃん!

劉:実は私も三人姉妹の末っ子なんですよ(笑)。私もお姉ちゃんにいつもついて行っていた感じで。三姉妹で「メダカの兄妹」で歌って、私は「たまえ」でした。

土居:「メダカの兄妹」玉瑛って「たまえ」って読めたりするよね?(笑)

劉:そうなんですよ(笑)。4歳、5歳上の姉たちと歌っていましたね。私の実家も商売していて中華料理店をやっているのですけど、それもあってカギっ子だったので、3人で結構お留守番させられていて、音楽番組を観て、マネたりしていましたね。松田聖子ちゃんだとか中森明菜ちゃんだとか、そういった世代ですね。私がカラオケで初めて歌ったのが「少女A」でした。凄い難しい曲で、いま思えばなんであんなに難しい歌を歌ったのだろうって。あまり意味わからず歌っていました。

えまお:若い子に「上目使いに盗んで見ている」ってわからないよね(笑)。

劉:最近は歌を歌わせていただいている中で、昭和の曲も歌う機会が多いので、カラオケに行って「昭和●●年のヒット曲」と検索して歌って勉強しています。

土居:いま核としているのがシャンソンじゃないですか。いつごろからシャンソンを歌い始めたのですか?

劉:叔母がアマチュアでシャンソンを歌っていてコンクールの応援で行ったときにシャンソンを初めて触れて興味を持ちまして、元宝塚の風かおる先生が神戸でシャンソンを教えているというので行ってみたのです。最初は30人くらいの生徒さんと一緒に習っていたのですけど、せっかくなら本気でやってみようと思って、風先生に弟子入りして、OLをやりながら個人レッスンを始めました。20代の半ばぐらいでしたね。そして、私も2年後にそのコンクールを受けて、運良くグランプリをいただいて、それをきっかけに歌手としてやっていこうと決めました。OLから歌手になりました。

●今回、初共演のかたが殆どだと思いますが、第一印象を教えてください。

土居:私から杉田さんについてですが、友達のシャンソン歌手が「私の友達でもの凄く太ったり、もの凄く痩せたりをする人がいるんだ」と聞いていたのが最初だったのですよ(笑)。痩せた時の写真を見たら「誰これ?」っていうぐらい本当に違うの!なんで?

杉田:ダイエットを凄く頑張るのだけど、1ヵ月で20kg痩せても、1ヵ月半で22kg戻ったり(笑)。そんなことをしていたらこんなにも太ってしまって…。

えまお:身体悪くなりますよね(笑)。ストイックになるときって人を閉鎖しないと誘惑に負けてしまうから、仕事以外は人と会わないようにしないといけないですよね。私もお酒や美味しいもの好きだから、みんなと食べに行って、食事を我慢するというのはかなり辛いですよ。

杉田:TVのCMでもやっている糖質カットのダイエット法とかやりましたけど、やっぱり戻ってしまいますよね。女優さんって大変だなって思いますね。

土居:玉瑛ちゃんは可愛いよね~。ご一緒するのは今回で2回目なんですよね。

劉:2016年「服部メロディ・イン・ジャズ」でご一緒させて頂いたときは大変なことをして(笑)。もの凄く緊張していて、自分が歌った後に次の歌手の方やバンドの方のをご紹介するはずだったのですけれど、全て飛んじゃって、土居さんが全てフォローしてくださって…。

杉田:劉ちゃんが、全く違う曲の歌詞を堂々と歌っていた時もあったって聞いたことあるけど(笑)。

劉:それは別のコンサートでありました(笑)。ほんとにすっからかんになっちゃう時があるのですよね。

土居:えまおさんはね、宝塚のトップスターだからね!宝塚のトップスターってみんなそうなんだけど、いい人なんだよね。

えまお:いい人なのかな(笑)。私はわりと正直な人なので、嘘とか嫌いだし、最近黙ることは覚えたのですが(笑)。「それ違うよ!」って言っちゃうようなお節介なところがあるので。でも、分かっていて言わないでおくのも可哀想な場面とかあるじゃないですか。お節介かもしれないけど言ってしまうタイプですね。

土居:私は言ってもらわないと!たまにタグをつけたまま、ファスナー開けたままとかで舞台に上がったことがあります(笑)。そうそう姿月あさとさんとご一緒した時に、私の衣装の裾をね、「もうちょっとこうやったほうが足が長く見えるわよ!絶対この方がかっこいい、これで行きなさい!」ってアドバイスしてくださって。その後で「土居さん、私より年上だったのですね…」って(笑)。そうやって、色々面倒を見てくださったのが凄く嬉しかった。

えまお:私と同期なんですけど、特にうちの同期は多いかも。言ってくれる人が少なかったから、みんなで言い合うというか。ずんこ(姿月あさと)が、「あそこの振りな、動きすぎるのおかしいで。もうちょっと曲にあったぐらいのほうが…」って、言ってくれたり。見てくれるからわかることがあるし、そういうことは宝塚同士でありますね。純粋に、こっちのほうが良い!と思うところがあったから言ったのだと思う。私も今回、色々いっちゃうと思う。ここをこうしたほうがシャープに見えるよ、とか。

杉田:言って言って(笑)。

土居:トップになるような人はそういうのを持っているんだなって。本当に宝塚の方たちって綺麗に見せるもんね~。

●これまでに影響を受けた歌手は?

えまお:これはトシちゃんしかいない(笑)。

土居:うん、えまおさんはトシちゃんしかいない(笑)。

杉田:私はマリア・カラス。もう一人はバルバラ。

劉:私は松田聖子さんですね。アイドルは大好きだったかも。なりたいとかではなく、おニャン子クラブ。あと、宝塚は大好きでしたけどどうせ私には無理だと思っていたので(笑)。宝塚は憧れって感じ。自分が入りたいとか入れるとかの次元の話ではないですね。

えまお:私が宝塚を目指したのはまわりに宝塚の人がいたからかも。従姉に毬谷友子がいて、叔父に劇作家の矢代静一がいたので。あと、私の母が双子で、二人とも服部リズムシスターズの一人だったのです。

土居:えー!それこそ3年前に出演させていただいた「服部メロディ・イン・ジャズ」で、山本リンダさんのバックで私と劉ちゃんでそれらしいことしましたね(笑)。私が影響を受けたのは、ジャニス・ジョプリンなんです。

杉田:あ、あと私はミック・ジャガーかな。どんどん出てくる(笑)。

土居:中学、高校の時って、レコードで色々と聴くじゃないですか。影響を受けたというと沢山ありますよね。

●越路さん、岸さん、ピーナッツさん、百恵さんについて、特別な思いやエピソードなどを教えてください。

杉田:私、「夜明けのうた~岸洋子さんへのオマージュ~」というCDを出しています。社長が岸さんのマネージャーをやっていらしてそのご縁がありまして。声の高さとかタイプが全然違うから歌えないかなと思っていたのだけど。岸さんの時も前田憲男先生がアレンジされていましたね。

土居:私と劉ちゃんでザ・ピーナッツさんの曲を歌う予定なのですけど、私は現役の頃を知っているのですけど、劉ちゃんは?

劉:私が生まれた時にはもう引退されていましたけど、モスラの曲などで小さい頃から知っていました。あと、テレビCMで「恋のフーガ」の替え歌で「ふりかけーて、ふりかけーて」ってありましたよね。あれも印象的でした(笑)。

えまお:昭和歌謡って、テレビCMで替え歌にされていることが多かったですよね。パールライスとか。

杉田:最近だとマッチ(近藤真彦)が「ギンギラギンにさりげなく」を自身で替え歌していますね。ヒット曲があると今でもCMでも歌えるというのがいいよね。

劉:今回ご一緒する荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」は昨年高校生のダンスが話題になって再燃しましたし。

●最後にコンサートの魅力をひとことずつお願いします。

杉田:昭和っていいことが沢山あったし、昭和の方ってとにかく元気じゃない。今の人と違ったパワーがあるから、育ってきた色々な環境があるから、きっと聴きながら色々なことを思い出して、若かった昭和の頃の気持ちに戻るのではないかなと思います。名曲がいっぱいあるし。

えまお:歌詞がすんなり入ってくる素晴らしい歌が多いですね。音符ひとつひとつをしっかり歌うのが昭和の歌の醍醐味だと思います。

劉:そうですね名曲がたくさんありすぎますよね。

土居:とにかく、私たちも楽しみましょうね。

この日の対談は大いに盛り上がり、2時間近く色んな話題に飛んでいました。土居裕子さんと劉玉瑛さん以外は皆さん初共演になりますが、皆さんそれぞれのフィールドで活躍されている実力派揃いです。土居裕子さんはミュージカル俳優としてその実力を多くの俳優さんからもリスペクトされ、えまおゆうさんは元宝塚男役トップスタートして功績を残し、杉田真理子さん、劉玉瑛さんはシャンソン歌手として毎年開催される「パリ祭」には欠かせない人気歌手です。私たちの人生を彩り豊かにしてくれた昭和歌謡の楽曲の中から、今回のセットリストの第一部は出演者ご自身がセレクトした曲を歌っていただきます。昭和時代にタイムスリップし、優雅な夢の世界へとごあんないいたしますのでご期待ください。

プロデューサー:佐藤美枝子

ナビゲーター:土居裕子
カメラマン:Koji Ota

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