インタビュー Vol.56
「昭和を彩る伝説のスターたちに捧ぐ」に向けて
荻野目洋子


 
ソロ・コンサートでは歌や踊りを長時間なさっていますが、そのスタミナ源ってなんでしょうか?
とにかく食べるようにしています。そして、以前から続けていることですが、よく歩き、よく自転車に乗りますし、走るのも好きです。風を感じていたいというのもありますけどね。

 
カラダを動かすことをかかせないということですね。多忙の毎日なのにさすがです。
時間はつくるものと思っているので、目的地まで車でいくよりは自転車で行けないか考えてみたり、または電車で行けないかとか。電車で行けばホームとホームの間を凄く歩いたりしますし、普段スニーカーなので意識して早歩きしたりしていますね。エスカレーターよりは階段を使ったり。

 
デビュー当時からのファンが多くいらっしゃると思いますが、その方々に対する思いを聞かせていただけますか。
若い頃、ツアーをやったときに全国各地を一緒にまわってくれたファンの方たちがいるのですが、同じ方たちがまた一緒にまわってくれたりするのですよ。ほんとにありがたいと思います。皆さん仕事や家庭などのご事情がありますから全員というわけではないと思いますが、当時の顔ぶれに会えるとホッとします(笑)。


 
顔をおぼえているのですね!
それはもうおぼえていますよ。新幹線のホームで電車が来るまで話したりしますからね。ライブのほか、ディナーショーをやったりしていましたが、そこにめがけて仕事のスケジュールを組んで時間をつくって来てくれるのです。東京でしかやらないライブでも全国から来てくれたりするので、ほんとに有難いと思います。スケジュールの調整があるから、なるべく早くライブ日程を知りたいって言われますね(笑)。

 
昔より今は来やすくなった、そういう世代になった、ということもありますかね。
昔よりお金と時間の余裕はあるのかもしれないですね(笑)。時間はないと言ったらないじゃないですか。私もお母さんをやりながら、妻をやりながら、だけど歌える環境にいる、時間が限られた中でもリハーサルをやったり、ライブでこんなことをするというのを考えるも楽しいですし、お客さんもライブに照準を合わせて体力付けるぞ!ってなってくれるし、私に見られるので「ちょっと痩せてから行きます!」ってメッセージをもらったりすると私も楽しいです。お互い高められるというのは凄くいいことじゃないですか。凄くいいことをしている気がします(笑)。

 
時間の使い方が上手くなっていくのかもしれないですよね。
昔はだらけてしまうときもあって、目標が1つ達成すると次は何を目標にすればいいのか直ぐに見つからなかったり、誰かがこうしてるから私もこうしたほうがいいのかな、とまわりに影響さたり、海外のかっこいいアーティストを見つけたら、私も同じようになりたいと目指して背伸びしたりしていましたけど、今は自分らしく生きている感じを実感していますね。


 
昨年8/26文京シビックホールでの「第49回サマージャズ」にご出演いただき、ジャズのビッグバンドスタイルで「ダンシング・ヒーロー」、「Tennessee Waltz」、「Sing, Sing, Sing」を歌っていただきました。アンケートで荻野目さんのジャズが良かったという感想が多くよせられました。その後、ジャズの歌唱についてはご興味ございますか?
歌いたい曲はたくさんあるので、これからもそういった機会があればジャズは挑戦してきたいですね。

 
そして今回、6月29日「昭和を彩る伝説のスターたちに捧ぐ」に出演していただくことになりまして、決まったときの率直な感想は?
私自身のスタンスとしては年齢を重ねても歌わせてもらえる場があることがとても幸せだなと思うので、なるべく色々なシチュエーションだったり、音楽を楽しんでくださるオーディエンスの前に出てたくさん歌いたいな、という心境はかわらず持ち続けているので、今回も楽しみにしています。

 
荻野目さんにとって昭和歌謡の魅力とは何でしょうか。
私の場合、主婦をしていた時間もあるので、ずっと第一線でご活躍されている方と肩を並べているのは恐縮なのですが、自分が30周年を迎えたあたりから、音楽に対して純粋に楽しんでいる自分がいます。中でも昭和歌謡というのは自分の小学生時代にあらゆるヒット曲とかを耳にしていますから、お茶の間で家族全員で歌っていた良き時代だったなと思いますね。カラオケにあまり行くことはないのですけど、カラオケに行ったとしたら、私は昭和歌謡を歌うのですよね。子供のころから聴いているのでカラダの中に入っていますし、そうじゃなくても、音が出れば歌える曲がいっぱいあります。演歌も歌いますし。

 
昭和歌謡を歌い紡ぐことも大切ですよね。
そうですね。前までは自分の作品として「こんな曲を歌ってみたい」、「こんな曲にチャレンジしてみたい」と、自分の世界観で考えていました。それが30周年を迎えたとき、歌手として歌を歌う意味が少し変わってきました。歌い手として名曲を誰かが歌い繋いでいく、誰かが歌い続けていかないともったいないと凄く感じますね。歌い続けることによってにじみ出てくる良さというのがあるかもしれません。

 
若いころ聴いていた昭和歌謡を今聴くと感じるところがまた違うというのがありますよね。
ライブをやるときに自分が挑戦するコーナーをつくろうようにしているのですけど、2年くらい前かな、江利チエミさん、美空ひばりさんなどの曲をメドレーにして歌いました。その辺の大大大先輩の歌は、今はまだ歌えないなというのもあります。でも、いまだからこそチャレンジしてみたいなという曲もあります。たとえばですけど、落語家さんの師匠が大事にしていた噺を弟子がチャレンジするのと心境は似ているのかわかりませんが(笑)、そういうイメージですね。

 
30周年を超えたからこそチャレンジできる。
そうですね。そのメドレーをやったのは30周年を過ぎてからなのですけど、ここでやっておきたいなと。ぜんぜんおよびませんでしたけど(笑)。およばないんだけど、なんか自分の中でそれが栄養になっていくというか、そのように感じますね。

 
昭和を代表するスターたちの名曲を聴けるコンサートですが、出演に際して楽しみにしている事はございますか?
もともと他の歌手の方の楽曲を歌わせていただくことは大好きで、かつ勉強になる機会だと思っています。スタジオに入って山口百恵さんの曲で声出しとかをよくやりますね。スタジオにはカラオケのシステムがあって、ランダムに曲をだしてみたら「イミテーション・ゴールド」が出てきて、子供の頃はあのカッコよさは出せなかったなと、思い出しましたね。こういう曲を書いてほしいと思っても簡単に書けるわけでもないですよね。


 

以前に山口百恵さんに憧れていた、と他のインタビューで拝見致しました。山口百恵さんの歌との出会い、憧れたところなどお聞きできますか。
「プレイバック Part.2」を歌っている百恵さんをテレビにかじりついて観ていたら、よくいう“ビビビって感じる”っていうやつですね。まさに電撃的な出会いでしたね。百恵さんになりたい、というよりは、ブラウン管を通してこんなに人に影響に与えるのは凄いと思って歌手になりたいと思ったのですよ。このことはあまり言ってこなかったのですけど、でもある時からもういいかなって。デビューした当時とかにそういうことを口にすると「じゃあ、百恵さんを目指すわけですね」って書かれがちじゃないですか(笑)。だからといって百恵さんになれるとは思っていなかったし、自分は雰囲気も違うだろうと思っていたので。そういう意味でその存在感はかなり影響を受けましたね。
 
スターの思い出は、どのアーティストが一番印象的ですか?
そうですね、いろんな方の曲を歌いたいなと思っていますけど、今回は「荻野目洋子が歌う百恵さんの曲」を楽しみにしてもらえたらなと思います。
 
今回こんな豪華な内容で1ステージ限り!ということで、とてもレアな公演になると思いますが、いったいどんなステージになりそうですか?見どころというかを教えてください。
雪村いづみさんとはお話したことがないと思います…。大先輩たちとご一緒できるのはとても貴重な機会だと思っています。色々先輩に聞きたいなと思います。
 
ゲストの方が重鎮な方が多いのでトークコーナーでは貴重な話が聞けるかもですね。
そうですね。私は小学生の頃はどこにでもいるような自然児で、意外と人見知り。でも歌を歌うことだは恥ずかしくはなかったですね。初めてテレビに出たときは小学生のときでしたけど、そこでスポットライトを浴びたときは人生の中で一番衝撃的で、他にとりえはなかったけど、歌番組を観たり、歌うのは好きだった子供時代でしたね。
 
それが30年以上もつづくという。
全く想像していなかったです(笑)。
 
ソロ・コンサートでは楽器演奏を披露していらっしゃいますが、披露の予定はございますか?また新しい挑戦はありますか?
今回に関してはないですが、ワンマンライブのときはお客さんが見たことないこと、新しいことをチャレンジしたいです。お客さんにとっても新鮮だし、私にとっても新鮮で楽しいですよね。


 

昭和という時代は、戦前、戦後、高度経済成長、バブルまでという大きな動きがあり、音楽文化もその時代を象徴した作品が沢山ありますが、百恵さん以外の曲で今回お歌いになる曲は?
当日のお楽しみなので詳しくは言えませんが、ザ・ピーナッツさんもお歌いになった名曲も歌わせていただく予定です!

 
最後にファンの皆様へメッセージを!
全体をとおして多彩な内容となっているので楽しみにしていただければと思います。昨年、サマージャズに参加させていただいたときもそうだったのですけど、皆さん心から音楽が好きなんだなぁって。私も踊りながら歌いますので、お客さんもノリノリで聴いていただけると嬉しいです。

 

インタビュアー:Yasuo Fukuda
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