インタビュー Vol.53
ミュージカルを愛し、快進撃を続ける平方元基の世界☆
平方元基


 
●昨年のファースト・コンサートに続き、2回目のコンサートを開催するいまのお気持ちは?
自分の歌を聴きに来てくれるって、僕にとっては何もかもが初めてづくしで本当に緊張しました。でも今回はゲストに日野くんと上原くんがいるので、楽しみながら心地良い緊張感を味わえるのかな~って思っています。でもこんなに早く2回目が出来るとは想像もしていなかったです(笑)。

 
●楽曲のコンセプトは?
今回は僕が演じてきたミュージカル作品の中の楽曲を中心に、今まで応援してくれたお客様と色んな思いを共有したいな~って思います。今までの平方の歌を今の平方が歌うということで新たな発見もあるのかな。

 
●「Wonderful Memories」はどういうイメージでつけられたのですか。
サブタイトルってその時に言いたいことや伝えたいことの気持ちが全部入っているので、すごく悩んでつけたのですが、ミュージカルをやらせていただいた今までの思い出だったり、僕の歌を初めて聞いてくださる方にも僕の表現をわかっていただけるよう、自分の一つ一つのパーツになっている役と向き合って、新たな一歩を踏み出せたらいいなっていう思いと、なんて素敵な!happy!!な中にも、ちょっとノスタルジックな感じも出しつつ、お客さまとの一体感を大事にしたくて、このタイトルをつけました。

 
●実はミュージック・デュレクターのハクエイ・キムさんもまた平方さんと共演できることを凄く喜んでいました。
ハクエイさんてミュージカルの曲が難しいって言ってたじゃないですか。でもこれだけ沢山の編曲をやっていただいて申し訳ないなって思っているのですが、でもミュージカルに触れて楽しかったと言って、また編曲してくださるのは本当に僕も嬉しいですし、バンドメンバーも皆さんいい人ばかりでチーム・ハクエイさんは僕にとっても素敵な仲間です!
バンドの皆さんそれぞれが目的意識をしっかり持っているので、昨年のコンサートで僕は凄く安心して皆さんに飛び込んでいけて、その中で自由に泳がせていただけたのを凄く感じました。そして今年はちょっとだけ僕も成長したよって言える部分も見せたいし、バンドの皆さんとも一緒に楽しみたいと思っています。ミュージカルの難しい5拍子の曲なんか普段ミュージカル専門にやっているミュージシャンでも嫌がるのに、ハクエイさんたちは全然OKで、すごいなって!!その時の歌の感じで曲がすごく踊るのが、ジャズ・ミュージシャンの凄さですね!素晴らしいですよね!だからお互いに音楽の中でコミュニケーションをとりたいなって思います。


 
●この10年を振りかえってみて―。
10年前は福岡にいてまだ21歳ですよ、芸能をやるって思っていなかったから、本当に自分でも信じられない!でも色んな人との出逢いがあり、別れもあり、そういう一つ一つの思い出が曲の中にあったり、その時一緒にいた人が偉くなっていたり、違うフィールドで活躍されていたり、遠くに行ってしまった人など、出逢いと別れは様々だけれど、僕はミュージカルとは別れなかったんだなと思います。求めてくれる人がいなければ、舞台には立てないから、凄く素直に感謝できるようになりましたね。

 
●「ロミオ&ジュリエット」のティボルト役で初舞台(2011年)に立った時の感想は?
いや~僕はその時はまだ何もわかっていなかったので、ドラマやって、映画やって、バラエティやっての中でまさか自分がミュージカルに主軸をおいてやっていくとは想像していなかったです。

 
●平方さんの芯の強さって凄いと思いますが…。
いや~そうですか!(笑)結果オーライならいいですが、提案しないで、後でもっとやれたよね!って言われたら悔しいし、その時の気持ちを素直に伝えることはしようかなって思う。伝えたことで、できることとできないこともあるし、だから待ってるだけじゃダメなんだって思いました。
いくら自分の歌に自信がないなって思っていても実際に歌っていると楽しくて、役との出逢いで自分自身を解放することができるから、今までは自分を表現するってそんなに得意ではなかったのですが、自分の言葉で人にだんだん伝えることができるようになってきたなって思うと、自分の未来を構築していく手段がミュージカルなんだって思えるようになりました。
それはたまには、もういやだ!って思うこともありますが、でもきっと一生ミュージカルとは離れられないでしょうね。色んな角度で色んな役をやると自分のことを冷静に見つめることができるので、気づくと色んな人に迷惑かけたな~って思ったり、色んな人に愛されていたんだな~って気づくこともあるので、作品との出逢いも運命だし感慨深いものがありますね。ミュージカルの世界にいることを諦める勇気があるのなら、とうの昔に諦めていたと思う。


 
●今年はミュージカル「王家の紋章」からは始まって、どの作品も大人気でチケットが取れないことが多くありましたが…、帝劇X「王家の紋章」も斬新でしたね。
凄く新しいことをやらせてもらったなと思うし、その中の一員で入られたということは貴重な体験でしたし、何よりも素晴らしいカンパニーでした!でもね、実力ある人ばかりの中に飛び込んでいくのは本当に大変でした。自分って、何だろう、平方元基としてどの立ち位置にいるんだろうーって思っていたし。

 
●王家のカンパニーの中でいちばん背中を見ていた俳優さんはどなたですか?
健ちゃん(浦井健治)は勿論ですが、強いて言うなら聖子ちゃん(新妻聖子)。何でも物事をはっきり言うし、色んなアドバイスをしてくれたり、思った人にしか言わないから、はっきりしていて勉強になりました。
初演と再演を合わせるとだいたい1年越しでやっていたので、貴重な時間を一緒に過ごすことができて良い出会いだったなって思います。今でも本番上がる前は聖子ちゃんのゴールド(ミュージカル「GOLD~カミーユとロダン~」)聞いたりしていますよ。

 
●今回、日野真一郎さん(LE VELVETS)と上原理生さんという素敵なお二人のゲストをお迎えして。
初めて出演した作品で共演した理生とまだ共演したことのないしーたん。それぞれの個性を持ってそれぞれに歩んでいる今。この3人だからできることをやりたいと思います。僕はしーたんも理生くんもとても尊敬しています。3人のトークも凄く楽しみですね、普段の僕が出ちゃったら、もう3人とも話が止まらなくなっちゃうかも(笑)。

 
●ミュージカル俳優の平方さんですが、今後ストレートプレイやシェークスピアなどの古典劇などはご興味ありますか?
ミュージカルの中でも音で紡ぐことが多い作品と芝居の部分が多い作品と色々あるのですが、やはり僕は歌うことが大好きなので、歌の多い作品はとても楽しいですね。一回病み付きになっちゃったので抜け出せないですね。それが僕の中で「ミュージカル」だったというのが自分自身でも驚きですが。そこから派生して挑戦できるものは色々やってみたいですね。


 
●自分で曲や詩を書くということはいかがですか?
それはないですね、全然曲も詩も降りてこないし~(笑)。お風呂の中で鼻歌程度に歌うのはだいたいミュージカルの曲です(笑)。でも歌詞を書いて歌での表現なら、自分をさらけ出せるかなっていうのはあるかもしれませんね。作詞・作曲も挑戦できたらいいですね…。

 
●ロマンチスト派?それともリアリスト派?
僕、AB型だからどちらもあるんですよね。でもどっちかというとロマンチストではあるけど、実際、手に取るものは現実的なものが多いかな。


 
●舞台はハードですが健康管理は?
睡眠はすごく大事なので、質の良い睡眠をとるように心がけていますね。睡眠の質がいいと舞台上に出てくるパフォーマンスも変わってくるし、自分をきちんとコントロールする意味でも、寝るっていうことも大事な仕事のうちですね。

 
●日課はありますか?
忙しくても1日一回は必ず外に出て軽くランニングしたりして、自分をリセットする時間を作ります。お稽古中や本番で劇場に入ると1日中、陽の光を浴びないので、五感だけで感じられる何もない場所に身を置くようにしています。

 
●多忙な日々をどのように自身と向き合っていますか?
忙しいのは嫌だなって思っても、仕事がない頃には戻りたくないですし、追い詰められている時の方が色んな想像が働いていい芝居ができたりすることもありますね。でも心は健康でいたいですね。あまり無理に節制はしないでいつも自然体でいることを心がけています。

 
●ファンの方へのメッセージをお願いします。
しーたん、理生、僕にとって最高の仲間と一緒に、めぐろパーシモンホールという素敵なホールでやらせていただく緊張感とプレッシャーはあるのですが、まだやってもいないのにワクワクするんですよ。皆さんの笑顔に会えるのも楽しみです!!このワクワクの気持ちを必ず皆さんと共有できるよう、まずは演出の菅野こうめいさん、ミュージック・デュレクターのハクエイさんやスタッフの皆さんと良く話し合って、丁寧にきちんと満を持して、おとどけできるような心に残るプレミアムなGiftにしたいなって思います!



2回目となる平方元基さんのコンサート。平方さん曰く、「僕は歌手としてやってきたわけではないので、こんなに早く2回目が開催できるとは思っていなかった。」 しかし、打ち合わせをしていくうちに、思いのほか熱く公演開催に向けての意気込みを話してくださり、何より嬉しかったことは平方さんの親友とも言うべき日野真一郎さん、上原理生さんが一つ返事でゲスト出演が叶ったことは本当に平方さんがお仲間にも愛されているのだな~って実感しました。
ある対談の時に上原さんがおっしゃっていた印象的な言葉で「僕と日野さんは子供の頃から音楽の道に進む目的を持って、大学で学んできたけど、元ちゃんは違う環境の中にいてここまでのぼりつめてきているから凄いと思う!」 同じフィールドで、ライバル同士のはずなのに、深い友情の絆ゆえに暗黙のうち互いに認めリスペクトしあっているからこそ言えるメーセージではないかと思いました。それぞれが立つ大舞台では連日スタンディング・オベーションを浴び、日々進化しながら更に輝きを増し続ける3人の貴公子たち。昨年に引き続き、音楽監督はジャズ界の貴公子、ハクエイ・キムさん、構成・演出は菅野こうめいさんをお迎えしてどんなミラクルの世界を放ってくれるのか、たった一日限り、この瞬間をオーディエンスと共に感動を分かち合えたら光栄です。

 

インタビュアー:佐藤美枝子
カメラマン:平賀正明

 



平方元基(ひらかた げんき)/ 1985年生まれ、福岡県出身。身長184cm、血液型AB型。08年TVドラマで俳優デビュー後、数々のドラマ、舞台、映画に出演。11年「ロミオ&ジュリエット」でミュージカル初舞台を踏み、以降、人気と実力を兼ね備えたミュージカル界の新星として活躍中。過去の主な出演作に「エリザベート」「サンセット大通り」「ダンス・オブ・ヴァンパイア」「王家の紋章」「スカーレット・ピンパーネル」「レディ・ベス」等。今後の出演作品は2018年1月シアタークリエ10周年記念公演「TENTH」。ミュージカルでは3月「舞妓はレディ」、6月「銀河鉄道999」ほかに出演予定。今最も勢いに乗るミュージカル俳優として注目されている。


 

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