インタビュー Vol.21
躍進続けるジャズ・ディーバ 青木カレン


 
◎生い立ちについて
 
●出身地をおしえていただけますか?
生れは日本ですが、父の仕事の都合で幼少期は香港、アメリカ、イギリスなどの海外で生活をしていました。

 
●海外生活が長かったのですね!日本に戻ってきたのはいつごろでしょうか?
高校からで、それからはずっと日本での生活です。

 
●海外の色々なところに滞在されていたわけですが、音楽的に一番影響を受けたのはどこですか。
アメリカのデトロイドですね。当時MTVがちょうど始まった時期で、いわゆるポップスからヒップホップまでが映像として流れていて、そういう音楽が好きでした。ラジオをとてもよく聞いていて、民族音楽なんかも好きでした。ジャンルには拘ってはいませんでしたね。

 
●楽器は何かやっていましたか?
4歳からクラシック・ヴァイオリンを習っていました。

 
●それからボーカルに興味を持たれたと?
大学時代のカメラマンのアシスタントをやっていたときに、バイト仲間とショートフィルムを撮っていて、そのフィルムの中に、私の声でアカペラの“アヴェ・マリア”を入れたりしていました。ある日、葉加瀬太郎さんの撮影があって、仲間と「このテープを渡してみたら」という話になった次の日、たまたまお渡しできる機会があって。そしてテープをお渡しした後日に連絡が来て、「一緒にやらないか」と言ってくださって…。それから歌を始めました。




 
◎ジャズとの出会い
 
●そもそもジャズを歌うことになったのは何がきっかけですか?
カフェで聞いたジャズが格好よくて、すぐにネットで検索して一番先に出てきたライブハウスをみたら、偶然その日にボーカル・セッションがあって…。代々木NARUというお店です。どうしても行きたくなって勢いで行きました(笑)。

 
●そのときは何を歌ったのですか?
“My Funny Valentine”です。メロディを知っていたので歌詞カードをみながら歌いました。そうしたら、お店のママに「今度は歌詞を覚えてきてね」って言われました(笑)。バンドの方からは「キーは何ですか」って聞かれて、「キーって何ですか?」みたいな(笑)。そのバンドのギタリストが田辺充邦さんという方なんですが、いまも一緒に仕事をしています。いまの自分のきっかけを作ってくださったので大変感謝しています。

 
●素敵な出会いですね!
振り返りますと、葉加瀬太郎さんにテープを渡したときやジャズを聴いてすぐにライブハウスにいったのも、何かピーンと感じるものがあったのかと思いますね(笑)。流れに導かれ、ここまできたような気もします。



 
◎ジャズシンガーとしての活動について
 
●初めてのお仕事は憶えていらっしゃいますか?
阿川泰子さんの前座が初仕事でした。とても緊張していたのを今でも憶えています!

 
●それは緊張しますよね!(笑)
そうですね。でも当時は同じ事務所ということもあり、阿川さんからはボーカリストとしての心構えなど色々と教えていただきました。ライブと平行してピアニストの納谷嘉彦さんから譜面の書き方などを教わりました。それが今でも活きており、とても感謝しています。

 
●それも素晴らしいご縁ですね。ライブでは他にどういった方と一緒に活動されていましたか?
阿川さんからドラマーの大隅寿男さんをご紹介いただき5年ほど大隅さんのバンドに在籍させていただき、都内だけでなく地方も連れて行ってくださいました。その当時のピアニストはハクエイ・キムさんだったのですが、キムさんも今でもよくライブでご一緒させていただいています。

 
●そして2006年にメジャー・デビューとなったわけですね。
須永辰緒さんと野崎良太さん(Jazztronik)のプロデュースでデビューさせていただきました。そしてBS朝日の番組でMCと番組のエンド・テーマも担当することになり、その曲を収録したアルバム「KAREN」をランブリング・レコーズからリリースしました。その時に出会ったShima & Shikou DUOは特に仲良くさせていただきましたね。また、Paolo Scottiのプロデュースでイタリアで録音した「By My Side」はポニーキャニオンの伊ジャズ・レーベルNorma Bluからリリースしたりと、これまでもさまざまな経験をさせていただきました。

 
●そのほかにはポップス界で有名な今井了介さんのプロデュース作も出されていますし、ジャズと言っても幅広い活躍をされていますよね。今回出演される「第46回サマージャズ」ではビッグバンドのザ・ビッグバンド・オブーグズと共演されますが、以前にビッグバンドのアルバムもリリースされておりますよね。
2008年に“Karen's Swingin' Party!”というアルバムをリリースしました。NYでAndy Farber and His Orchestraと録音したのですが、全てがとても新鮮でした!クラリネット奏者のJack StuckeyはBenny Goodmanのバンドのオリジナル・メンバーだったので色々と面白い話を聞かせてもらいました。昨年、そのアルバムのレコーディング・メンバーが在籍するNY Swing Jazz OrchestraがGlenn Millerのトリビュート・ライブ・ツアーとして来日して、私も5、6カ所ほどご一緒させていただきました。

 
●そういえば“Karen's Swingin' Party!”のリリース・パーティーが面白かったですよね。
舞浜にあったイクスピアリでリリース・パーティーを開催したのですけど、スウィング・ダンスのダンサーとのコラボレーションでとても楽しかったですね。スウィング・ダンスは1930年代にアメリカで流行ったダンスで男女が一曲ごとに入れ替わりながらパートナーを変えて踊るというものなんですが。ジャズをただ聴くだけじゃなくて、ツールとして楽しんでもらいたくて、「ジャズの演奏で踊りも楽しめる」、そんなコンセプトで開催しました。踊るスペースをつくってお客さまもみんなで一緒に踊りました。ホント、楽しかったです!

 
●8/23「第46回サマージャズ」でのステージも楽しみにしています!
皆さまに楽しんでいただけるようにがんばります!



 
◎今後について
 
●最近はテレビ、ラジオなどの出演が多いですね。2012年には舘ひろしさんのアルバムで「銀座の恋の物語」でデュエットして、NHKの音楽番組「SONGS」にご出演されていましたがどういった経緯だったのでしょうか。
実は昔、石原プロダクションに在籍していたことがありまして、舘さんとはその頃からのご縁でお声掛けいただきました。最初お話をいただいた時は驚きましたし、同時にプレッシャーもありましたが、舘さんが紳士にエスコートしてくださったので助かりました。すごく優しい方ですし、お人柄に惚れてしまいますね。

 
●今後のご予定は?
7月17日(木)夜10時からスタートする上戸彩さん主演のフジテレビドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち」のメインテーマ曲を作詞、歌唱させて頂きました!以前から映画ガリレオ「真夏の方程式」などでもご一緒させていただいている作曲家の菅野祐悟さんがお声を掛けてくださいました。いつもいつもホント嬉しいです。そしてリリースですが、これまで“Twilight Jazz”と“TRANQUILITY”というカバー・アルバムを出してきましたが、そのシリーズ3作目を年末にリリースする予定です。年始にはオリジナル・アルバムも予定していますし、いま制作をがんばっています!

 



流星のごとくジャズ・シーンに現れ、常に持ち前のチャレンジ精神で挑み続けてきた青木カレンさん。若くも豊富な経験からか、どこか「オトナ」な雰囲気で安心感を与えてくれます。これからもその素敵な歌声でジャズ・シーンを牽引していってください!

 
インタビュアー:YASUO FUKUDA
 
許可なく転載・引用することを堅くお断りします。


2014年8月23日(土)
「第46回サマージャズ」
会場:日比谷公会堂
日本最古の歴史を誇る伝説のサマージャズ!
>> 詳細はこちら