インタビュー Vol.12
ミュージカル界の貴公子が日本の名門ビッグバンドでジャズを歌う Pt.2
中川晃教


 
●いやー素晴らしいですね。この感受性の豊かさは。。。ほんとに。曲をつくるときは、メロディーと詩、どっちが先に降りてくるものなのでしょうか?
たとえば「I Will Get Your Kiss」というデビュー曲に関していえば、あれば同時に書いているのですよ。

 
●それは頭の中でイメージが出来上がっていたということでしょうか?
思ったことを弾きはじめます、即興ですよ。いま感じていることを歌うじゃないですか、それを「あ!」と思うことを書いていく。これだ!これだ!というのを書いていく。それをあとからブラッシュアップしていく。同時に進めていくほうが好きだったりするのだけど。たとえば今やっている「あかい壁の家」や10月にやる「ソング・ライターズ」は歌詞があったりするから、歌詞に音をはめていくという作業は、役者という経験をやってきたことで、とても楽しくなってますね。歌詞の感情を読み解いて、メロディーをつけようとするとあまり面白くないので、そこに様々なテクニックや自分の個性を加えていくことによって、平面だったものが立体的になったりしますよね。音楽が先の場合は、メロディーがついているわけですから、ラララでも成立するわけなんですよね。そこに、どんな言葉が一番あてはまるのか、と考えるほうが逆に難しい。曲先行が一番難しいかな。

 
●浮かんでこなくて苦労するっことってないんですか?
あります。それはほっといてます(笑)。そういう曲は。「I’m Falling In Love」という曲があるのですけどね、デビューしてすぐに書いた曲なんですけど、それは未だに歌詞がつかない(笑)。メロディーはあるのですよ。浮かんだときに歌詞を書こうと思っているのですが、浮かばないんですよね。いつあれは完成するのだろうと・・・。

 
●それは実体験で浮かんでくるんじゃないですか?(笑)きっと。そういう気持ちになったときに。今回のアルバムもあらゆる楽曲が入っていて、これをチョイスするっていうのも凄いですよね。1曲目に「Billy Jean」、もうアッキーの世界ですよね、この「Billy Jean」。しかも「THIS IS IT」を観てマイケルを知ったという。
いまだによくわからないのですよね。。。マイケルのこと。でも、マイケルと同じく、ジェームス・ブラウンが好きなので、だからなのか歌い方が似ているといわれたことがあったり。「Sex Machine」や「It's A Man's, Man's, Man's World」を聴いたとき衝撃を覚えたのですよ。カッコいいを通り越して、こんな音楽があるんだと。歌詞を日本語に置き換えたときに情景が全く違うじゃないですか。表現が違うじゃないですか。洋楽って日本より情感的っていうか。その思考について、ジェームス・ブラウンを聴いたとき思いました。マイケルもそうだったんだよね?

 
●マイケルはジェームス・ブラウンと巡り合わなければ、あの「マイケル」は存在しなかったと思います。アッキーの歌を初めて聴いたとき本当に驚いて、しかもマイケルのことをあまり知らないと聞いて、それも驚きました。
不思議ですよね。音楽の空気感が似ているのかな?自分ではよくわからないのです。

 
●シンガーソングライター、俳優など、いろんな才能を秘めていらっしゃいますが、今後、チャレンジしたいという構想などはお持ちですか?ダンスとか?
えー、新しいことですか。タップダンスはやってみたらいいよ、とかは言われますけど。ダンスは面白いですよね。結局、ダンスは音楽によって変わってきますよね。あんまり器用になり過ぎるのもどうなんだろうねって、そこは思うのですけど(笑)。でも、やれないよりは、やれたほうがいいだろうって思いますけど。

 
●でも踊っていらっしゃいますよね?舞台などで。
まあ、軽く(笑) 実際踊っているのではないですけど、踊っているように見えるのですよね。うーん、挑戦したいことは、やっぱりミュージカルをつくるっていうことはやりたいですね。

 
●プロデューサーと脚本も演出も?
音楽ですね。脚本、演出は自分でなくてもいいと思っているのですけど、ただそういうところから一緒に作っていきたいというのがありますね。

 
●何かお気に入りのミュージカルってありますか?
お気に入りっていうのはなくて、なんでミュージカルを作りたいと思っているかというと、結局、フィル・コリンズにしても、エルトン・ジョンにしても、U2のボーノにしてもね、みんなミュージカルを作っているのです。なんでミュージカルを作っているのだろう?って思うのですが、それは、その人の音楽を聴けば、その人の感じるものが自然とミュージカルとつながっていく。昔から自分の音楽は、どこか壮大だったりとか、メロウだったりだとか、ちょっとドラマチックなものが自分の好みなので、そういったものがミュージカルと合うと思っているのですよね。俳優も含め、ミュージカルも経験したうえで、ミュージカルを作ってみたいなというのがありますね。

 
●私が勝手にそうイメージしているのですが、中性的な魅力で、しかもいつも個性的なファッションですが、お好きなお洋服のブランドは?
ジョン・ローレンス・サリバンです。

 
●色々な舞台を見て勉強されていると思いますが、歌舞伎はご覧になられますか?
スーパー歌舞伎は観ました。あと、坂東玉三郎さんが大好きで、よく観に行きます。

 
●先日「ヘアー」を観にいかれましたよね。
楽曲は良かったです黒人の女の子はうまかった!

 
●今後たくさん出演予定の公演がありますので、切り替えは大変ですよね。これだけお忙しいと、お稽古とかダブっていないですか?
結構だぶっていますね。

 
●健康管理ってどうなさっているのですか?
生姜茶をよく飲んでいます。スタッフお手製の。
生姜は絶えず事務所に置いてあります。

 
●舞台の前の日って緊張して眠れないときもありますか?
眠れないときもありますね。
今回のサマージャズも、たった一回しかチャンスがないわけですよね。そこで自分の思いを集中させていくと、前の晩から頭がファーとなってしまうときがありますね。終わったあともありますよ。興奮してしまって。このあいだ( 5月31日&6月1日『I Sing』 シアターコクーン)もそうでした。一週間くらい、抜け殻状態になっていました。

 
●どこか旅行に行かれたりとか?
ないです(笑)。行きたいですけど。

 
●ひたすら次のお仕事に向けて進むのみですね。
はい、いまは「あかい壁の家」の準備で・・・。

 

 
●どんなジャズを魅せていただけるのか、楽しみです。
昔、フランスに行ったとき、ホテルのラウンジでビッグバンドのコンサートを初めて聞いたとき、そのとき自分がやっている音楽と違っていたので、「なんか古いな」と思ったのですよ。それから時が経ってNYのビレッジバンガードのライブハウスで聴いてこようと思って行ったら、すごい新鮮で、新しいことに思考が行っている時に聴くとちょっと自分の中で受け入れられないのだけど、一通り色んな音楽を経てきて、改めて聴いたときに、この間もCMでジャズの音楽が流れていて、ジャズってすごくいいなーと思ったのですよね。

 
●ビッグバンドは17人編成なのですけど、アッキーがご自分のコンサートでお歌いになられるときは結構大きな編成では?
プロのビッグバンドと一緒は初めてです。

 
●サマージャズ(8月24日「第45回サマージャズ」)へのチャレンジは?
今回、初めて歌う曲もあるので、僕どうなっちゃうのだろうと思っているのですけど。

 
●いやー、チャレンジですね!
はい! チャレンジですね!!!
いつか中川晃教さんにJAZZを唄っていただきたいと、毎年ご出演の御願いをさせていただいておりましたが、舞台などで中々スケジュールが噛み合わず、ついに3年越しの実現です。上手い歌手は世の中に大勢いますが、アッキーの美しい声質はそのDNAを受継ぐ幸運にも感謝ですね。モーツァルトから大河ドラマの「天地人」徳川秀忠にいたるまで、沢山の役を演じるアッキー、今回はジャズシンガーという役に初めての挑戦です。サマージャズでは、中川晃教さんの歌の感動を丸ごとお持ち帰りくださいね!

 
 
インタビュアー:佐藤美枝子
カメラマン:Koji Ota
 
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